臨床研究におけるAIの活用について
現状(事業開始時点)
臨床研究分野では、京都本学ではこれまでもフィジシャン・サイエンティスト(臨床医であり研究者でもある科学者)の養成やトランスレーショナル・リサーチを推進してきました。特にiPS細胞研究所(CiRA)における基礎研究の実施とiPS細胞技術を用いた臨床研究は世界的にも大きな関心を集めています。
京都大学および附属病院は文部科学省に認定された橋渡し研究支援機関かつ医療法の下に承認された臨床研究中核病院であり、多くの国際レベルの臨床研究を実施してきました。2022年度当院が主導して新規に開始した臨床試験(医師主導治験、臨床研究法研究、指針介入研究)は58件であり、44国立大学病院の中で最多でした(国立大学病院DBセンター調査)。また、再生医療やがん免疫領域等にける本学基礎研究の成果を基に、2022年度に5件、2023年度に6件の医師主導治験を立ち上げています(例:ENDOPIN単回投与第I/II相試験、免疫チェックポイント阻害剤/光線力学的療法併用第Ⅱ相試験、等)。臨床医学論文数(ESI分野分類)も2013年に1242本であったものが2023年に1709本と、着実に増加してきています。
一方、AI(Artificial intelligence)は画像認識、音声認識、データ分析などの形で医療分野・医学研究分野でも活用されてきました。深層学習・機械学習は現在の医学研究において欠かせない方法論の一つとなっています。そして昨今、生成AI、特にChatGPTのような自然言語モデルの登場でAIの活用が爆発的に広がっています。
京都大学医学部附属病院では、既に生成系AIを活用して文書作成業務を効率化する試みが行われ、医療現場の働き方改革に貢献しています。個人情報を厳密に守り、かつ病院固有の医療情報や診療情報がAIモデルに組み込まれないようにといった仕組みは、医療者と技術者が連携してこそ成し遂げられるものです。
京都大学医学部附属病院では、既に生成系AIを活用して文書作成業務を効率化する試みが行われ、医療現場の働き方改革に貢献しています。個人情報を厳密に守り、かつ病院固有の医療情報や診療情報がAIモデルに組み込まれないようにといった仕組みは、医療者と技術者が連携してこそ成し遂げられるものです。
(参考)京都大学医学部附属病院ニュース2024年6月3日:https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20240603.html
今後の予定
「Kyoto NEXT」プロジェクトでは、特に臨床研究の推進においてAI技術の積極的な活用を試みます。具体的には、AI駆動式臨床研究事務局の実現を目指し、臨床研究に必要な各種文書の作成・校正・整合性チェックの機能、被験者の組み入れ時点から計算されるスケジュールに合わせて来院や各種検査をリマインドする機能、各タイミングに合わせて参加施設に連絡メール(事前連絡、督促、注意喚起、等)を送信する機能、データクリーニングの機能、各種データを自動的に集計する機能、総括報告書を半自動的に作成する機能等、様々な側面でAIを活用します。
