Kyoto-NEXT事業では、まず京都大学が、新たな高度医療人材養成拠点のモデルケースとなることを目指し活動しています。一方で、本事業におけるAI技術や次世代型屋根瓦教育モデルを通じて全国の医療人材の育成を加速させるため、将来的な全国への発信を視野に様々な機関と連携を進めています。このセクションでは、プロジェクトにおける連携体制と今後の展望についてご紹介します。
既存の医療人材養成関連機関との連携
Kyoto-NEXT事業は令和6年からスタートしたばかりですが、本邦には医療者教育に関する先駆的な拠点が存在します。その一つが岐阜大学 医学教育開発研究センター(MEDC)です。MEDCは2001年に文部科学省認定の全国共同利用施設として認可され、共同利用施設として全国の医学教育を活性化させる「医学教育セミナーとワークショップ」を年に4回開催するなど、本邦の医学教育の発展に大きく寄与してこられました。さらに2010年には「教育関係共同利用拠点」として医学教育分野で唯一の認定を受け、第一期拠点認定(2010年)以降も、新しい医学教育法の開発、医学教育に貢献できる人材育成、国内外の医学教育機関との連携のほか、2020年からは日本初の医療者教育学専攻修士課程と医学教育学博士課程での教育を通じた医療者教育研究も推進しておられます。
Kyoto-NEXT事業ではこのような文科省事業における教育拠点としての成功例であるMEDCと連携し、医学教育のノウハウ活かしながら京都大学ならではの人材育成と臨床研究の促進に寄与する拠点形成を目指します。具体的な第一歩としては、MEDCの提供する医療者教育スターターキットの受講を本事業のClinician Educator認定の必須要件とし、本邦の医療者教育における共通認識を押さえるようにしています。
他の高度医療人材養成拠点との連携
令和6年度に採択された高度医療人材養成拠点事業は、タイプAが10件、タイプBが30件あります。タイプAは臨床・基礎の一体化した体制で、国際レベルの臨床研究を大学全体の診療領域で進めることで、国全体の基礎・臨床研究をけん引し、大学の研究力強化とともに、人材養成の基盤構築を進める取組、とされています。タイプBは特色ある診療領域の体制を強化し、国際レベルの臨床研究を特色ある領域で進めることで、その診療領域における臨床研究をけん引し、大学の研究力強化とともに、人材養成の基盤構築を進める取組、です。いずれの事業も令和6年度にスタートしたばかりではありますが、事業の推進とともに拠点間連携を進めていきたいと考えています。
産学連携
本事業では、産業界との連携を通じて、AI技術の医療分野でのさらなる発展・普及に取り組んでいます。京都大学の持つ最先端の医療テクノロジーや長年の医療安全への取り組みを活かし、安全かつ高度な技術開発を可能とします。2024年6月の附属病院ニュースでも公表した通り、京都大学医学部附属病院では既にフィッティングクラウド株式会社との共同研究において、電子カルテと生成AIの安全かつ効率的な連携を実現しています。
国際連携
本事業では、国際的な連携も推進し、グローバルな視点での医療教育の発展に貢献していきます。昨今、臨床・研究のみならず、医学教育分野でも国際的な枠組みの整理や共有が進んでいます。京都大学医学部では日本医学教育評価機構(JACME)が行う国際基準を踏まえた医学教育分野別評価に取り組み、認定を受けるとともにさらなる教育体制改善に努めています。本事業では国際的に評価されている医療者教育の取り組みやその先駆者を京都大学に招き、FD(Faculty Development)を行って貰うことで世界基準での教育理論を継続して取り入れます。また、将来的には「YANEGAWARA」を国際的に通用する教育理念として発信していきたいと考えています。