漢方診療ユニット&Kyoto NEXTの腹診勉強会を開催しました
2025年9月11日(木)、京都大学医学部において、漢方ユニットとKyoto NEXTが連携し、漢方医学における腹診の勉強会を開催しました。
今回は漢方ユニットから広く附属病院の教職員、研修医、学生に呼びかけていただき、20名以上の多様な参加者でにぎわいました。
また、Kyoto NEXT事業の臨床教育ティーチングアシスタントの先生方も、今後の臨床実習に活かすべく参加されました。
勉強会では、日本漢方医学教育振興財団(JKME)の提供による腹診に関する動画を視聴した後、クイズ形式で症例に合った腹診シミュレータを検討しました。
参加者はシミュレータに実際に触れながら、それぞれの属性やレベルに応じて漢方ユニットの先生方から指導・助言を受け、終了後も活発なディスカッションが交わされました。

漢方医学は医学教育モデル・コア・カリキュラムにも明記されている、全ての医学生が習得すべき重要な内容の一つです。実際、医師免許を取得すれば多くの漢方薬を医療保険の枠組みで処方することが可能となり、本邦の臨床医の8割以上が日常的に漢方薬を処方し、西洋医学と相補的な役割を果たしています。一方、本邦において体系的な漢方医学教育体制が整ってきたのは、比較的最近のことです。そのため現在の指導医層の中で体系的な漢方医学教育を受けてきた者はごくわずかであり、R6年度のKyoto NEXT臨床教育ティーチングアシスタントへのアンケート調査でも「漢方医学」は「教えられない」との回答の目立つ項目でした。特に腹診は江戸時代に発展した日本漢方に特有の診察法であり、「証」を判断するうえで非常に有用ですが、写真や動画では学びにくいという課題があります。また、健常者を対象とした模擬診察や臨床現場では複数の「証」を比較することが困難であるため、習得が難しいとされてきました。Kyoto NEXT事業では次世代型屋根瓦式教育における柱の一つとして特定領域の補完・強化措置を講じていますが、上記の理由から漢方医学教育もこの特定領域の一つと考え、7種類の腹診シミュレータを導入し活用しています。