臨床実習ティーチングアシスタント制度
Kyoto NEXTでは、次世代型屋根瓦式教育の理念に基づき、医師免許を持つ大学院生が学部教育(共用試験前の実技指導や所属診療科の臨床実習)において医学部生の指導を行うことを支援しています。ティーチングアシスタント制度は附属病院の豊富な診療科から推薦された臨床系大学院生が学部生への教育補助を行うことを雇用の枠組みを用いて教育実績として評価します。また、TA研修として定期的なFDを実施し、標準化され体系化された教育手法を学ぶ機会を提供します。
臨床系大学院生は医師としてしばらく働いた経験を持つものがほとんどで今後中堅医師として指導・教育に携わる世代です。Kyoto NEXTの取り組みを通じて教育の重要性を理解し、教育者として成長した若手医師がKyoto NEXTから羽ばたき、今後の本邦の医療者教育を担っていってくれることを期待しています。
ティーチングアシスタントからのコメント (一部を抜粋)
・ オンデマンド講習については、客観的な指導能力の底上げという観点で、非常に素晴らしいと感じました。自身の指導方法を客観的に見直すきっかけになり、学びも多かったです。特に面白かったのは、学生視点の医学教育の俯瞰的な考え方で、新入生セミナーの冊子から推察する場面で、指導にあたって参考になりました。知識よりも機会を与え、叱責ではなくフィードバック、というのも改めて重要と思いました。(R6年度)
・ この 1 年間の教育活動を通じて、臨床教育の奥深さを実感するとともに、今後の課題も明確になりました。引き続き、温かい指導を心がけ、より良い教育環境を整えていきたいと考えています。関係者の皆様に感謝申し上げます。来年度もより充実した指導が行えるよう努力してまいります。 (R6年度)
・ 各教材はよく練られており編集も非常に細かく丁寧に行われていて、質の高いものを提供いただいていると感じました。 (R6年度)
Clinician Educator (CE)認定制度
臨床実習ティーチングアシスタントとして1年度以上勤務し、かつ一定の研修をクリアした臨床系大学院生をKyoto NEXT事業におけるClinician Educatorとして認定し、表彰します。これは医療現場において教育と診療の両立を図る医師を支援・育成することを目的とした取り組みであり、また、教育活動に対する正当な評価とキャリアパスの整備のための第一歩と考えています。現場での教育経験を積み、教育者としての素養を備えたClinician Educatorの活躍は、将来の医学教育の質向上につながると期待されます。
2025年度認定要件
R7年度に当制度のTAとして期間終了まで勤務し、以下の必須①②③を満たした上で、任意①②にて合計6単位以上取得したもの
<必須①> 医療者教育スタート研修(オンデマンド)
<必須②> Kyoto NEXT 研修動画視聴(オンデマンド)
<必須③> レポート提出(年度末における、臨床実習への関りの振り返り)
<任意①> Kyoto NEXT Educator’s Lab(月1回のオンラインレクチャー)
<任意②> Kyoto NEXT オンサイトワークショップ
様々な背景を持つ臨床教育支援者
Kyoto NEXTでは、医学生の臨床教育を支援する人材として、看護師、臨床検査技師、薬剤師、他大学の医師、海外の医学部出身者など、医療現場の実践や教育に関する豊富な経験と専門性を持つ多様な人材を雇用・配置しています。これらの教育支援者は、患者ケア、臨床手技、医療機器の操作、薬剤に関する知識、医療に対する国際的な視点の理解など、各自の専門領域に応じた教育支援を担い、学生に対して実践的かつきめ細やかな指導を支援します。
ここでは、Kyoto NEXT事業の枠組みで臨床教育支援者として実際にご協力いただいているメンバーをご紹介します

中野慶子 (Keiko Nakano) ナカノ ケイコ
看護師、MPH(社会健康医学系修士)
エイズ病棟での臨床を経て、JICAの青年海外協力隊としてHIV支援に携わる。
臨床経験と共に大学の看護教育に従事した。
「次世代の医療人材を育成するため、看護の分野から地域医療を支える医療者の育成に取り組んでまいります。」

山東一孔(Kazunori.Ssnto)サントウ カズノリ
薬剤師
大阪薬科大学(現大阪医科薬科大学)を卒業後、製薬会社で臨床研究に関わる試験計画の策定、データ収集、データマネジメント、統計解析に従事。その後、退職を機に統計解析コンサルタントとして起業するとともに、医療統計学の学位取得を目指し大学院博士課程に在籍。
「これまでの社会人経験を活かし、広い視野を持った次世代医療人材の育成に貢献することを志しています。」

Shrutee Parkar (シュルティ パーカー)
From India
Soon to finish PhD Medicine from Kyoto University, with my primary research being focused on a small protein isoform of p53 protein. Graduated as a Medical doctor from Smolensk state Medical University, Russia.
Currently employed part-time to work at the Center for Medical Education and Internationalization, as a research assistant.
I want to contribute and learn how to improve patient care and Medical Education system, by helping this team of brilliant researchers of Kyoto NEXT in their work.

大塚勇輝(Yuki Otsuka)オオツカユウキ
医師、PhD(医学博士)
医学生の頃から医療者教育に興味を持ち、自身の総合診療医としての研鑽の傍らで、日々の診療や学会活動を通じて卒前・卒後教育と教育研究に従事してきた。現在は卒後8年目の若手教員として、大学病院での診療参加型臨床実習の実践や若手指導医の養成に携わっている。「自らの受けてきた教育経験も活かし、医学生に比較的近い立場から、次世代医療者の育成に取り組むことができればと思っております。」

万代 康弘(Yasuhiro Mandai)マンダイ ヤスヒロ
医師、PhD(医学博士)、医学教育専門家
海外留学の経験から主にシミュレーション教育、特にファシリテーション、デブリーフィング手法をみにつけた指導者養成に努めている。またインストラクショナル・デザイン、多職種連携教育、臨床実習・研修指導者養成など幅広く医学教育に携わっている。「グローバルな視点で魅力的かつ効果的な指導を展開できる医学教育指導者育成に努めてまいります。」

自閑 昌彦(Masahiko Jikan) ジカン マサヒコ
医師
市中の高度救命救急センターにて循環器内科医として勤務。初期研修医・若手医療者教育の統括的役割を担い、現在は自院の臨床教育センターの立ち上げを主導。地域・多職種連携を軸とした医療人材育成に取り組んでいる。「これまでの臨床・教育経験を活かし、地域と医療現場をつなぐ学びの拠点から、次世代の医療者が持続的に成長できる環境づくりに貢献してまいります。」
教育をもっと魅力的に! Kyoto NEXT Educators’ Lab
現場で医学生や研修医、若手医療者を教育している教育者は、「臨床実習をより参加型にしたい」「学生が主体的に参加する実習にしたい」「学習者の成長を促し今後の医療をよりよくするための助けとなりたい」など、日々、様々な工夫と努力をしています。
Kyoto NEXTでは、R7年度から、毎月1回、教育に関するミニレクチャーとグループディスカッションを組み合わせたセミナーを開催しています。
京都大学医学部附属病院や関連病院を中心に、医学教育に関わっている方は誰でも参加可能とし、教育上の悩みや工夫を共有しながら、より良い教育を実践するための学びの場を提供します。

医行為促進用物品の配備
Kyoto NEXT 事業では、臨床実習における学生の医行為推進のため、教育用物品の追加配備を行っています。
2025年度には、臨床実習前OSCEに向けて全学生が手技を習得しており低侵襲であるにも関わらず実施率が高く無かった眼底底検査について、「患者と学生の顔が近づくことから、感染対策上も抵抗を感じる場面が増えてきている」という課題を見出し、顔を近づけずに実施できる眼底鏡を追加配備しました。この物品は学生が見ている眼底所見を指導医も共に確認できるため、従来のものよりも診察手技そのものへのフィードバックも行いやすいという利点があります。

医行為訓練用物品の改良配備
採血は、医学生が実施し得る医行為の中でも侵襲性を伴い、十分な修練を要する手技です。採血シミュレーターの登場と改良によって、以前に比べれば練習はしやすくなりましたが、それでも体表から血管までの深さや構造を三次元的にイメージするには時間を要します。そこでKyoto NEXT事業では、株式会社京都科学に特注を依頼し、シミュレーターにおける“血管”への注射針の刺入部位とタイミングを可視化できる透明パッドを配備しました。これにより、従来以上に効果的な訓練が可能となることが期待されます。

医行為を促進するeポートフォリオアプリ「みんなの実習」
Kyoto Next事業では、診療参加型臨床実習における医行為の実施状況を学生自身が把握し、互いに切磋琢磨できるようにすることを目指し、「みんなの実習」アプリを開発・展開しました。本アプリは、日々の経験を記録するeポートフォリオとして活用できるだけでなく、別々に臨床実習を行っているクラスメートの努力や経験を共有し合うことで、モチベーションを高め、維持することも狙いとしています。
